今日は12月25日、いわゆるクリスマスの日だ。そんな日だろうと関係なく、私たちには部活がある。しかも、結構遅い時間まで。
・・・・・・でも、だからこそ。帰り道は暗くなり、辺りのイルミネーションが綺麗に見える。そんなわけで、私と日吉は部活終了後、駅近くのツリーでも見に行こうということになった。
日吉は、そんなことには興味が無いだろうと思っていただけに、そう提案してもらったときは、すごく嬉しかった。
「日吉、お疲れ様。」
「あぁ、お疲れ。・・・・・・すっかり暗くなってしまったが、本当に大丈夫か?」
「うん。親には、ちゃんと言って来たから。」
「そうか。・・・・・・まぁ、俺が責任を持って、を家まで送り届けるから。」
「ありがとう。お願いします。」
こうして、私たちは並んで歩き出し、駅の方へと向かった。
本当に街はクリスマス一色と言った感じで、カップルらしい男女のペアや、子供連れの家族ばかりが目に入る。
手を繋いだり、腕を組んだりしているわけじゃないけど、私たちも一応は“一緒に歩いている男女のペア”。・・・・・・周りから見て、ちゃんとカップルだと思われてるのかな?
なんてことを考えると、何だか恥ずかしくなってきた。
「あれ?日吉とさんじゃないか。」
「わっ!」
そんなとき、突然声をかけられ、声に出して驚いてしまった。
今度は別の意味で恥ずかしいよ・・・・・・。
でも、あまりに突然、しかも予想外の方に声をかけられたから、仕方ないと思う!
「乾さん!!それに、他の皆さんまで・・・・・・!一体こんな所で、どうされたんですか??」
「僕たちは、レギュラーメンバーでクリスマスパーティー・・・・・・と言うより、忘年会みたいなものかな。それと、昨日は越前の誕生日だったからね。そのお祝いも兼ねて、この近くのお店に来たんだ。」
「そうだったんですか〜!・・・・・・あ、越前くん。じゃあ、1日遅れちゃってるけど・・・・・・お誕生日おめでとう。」
「・・・・・・どうも。」
本当に、青学の方々は仲が良いんだなぁと思っていると、乾さんがどこからかノートを取り出し、私たちに尋ねられた。
何のデータを取るつもりですか・・・・・・?!!と焦るけど、乾さんの質問で更に私は動揺した。
「ところで。2人はこんな所で何をしているんだい?こんな時間に部活の買出し、ということはないだろう?」
「え〜っと・・・・・・。ちょっと、近くのクリスマスツリーを見に行こうかな、と思いまして・・・・・・。」
「2人きりで、かい?」
「え、えぇ・・・・・・。まぁ・・・・・・。」
「それはおめでとう。」
乾さんの質問に答えていたら、最後に不二さんがそう言われた。乾さんも楽しそうに微笑んでくださり、越前くんは・・・・・・どうでもよさそうに、横の方を向いている。
何がおめでたいのか、少しは疑問に思ったけど、何となく理解できた気はするので、私は躊躇いながらもお礼の言葉を返した。
「・・・・・・ありがとうございます・・・?」
「じゃあ、あまり2人を引き留めるわけにはいかないな。」
「乾の言う通りだね。」
そんなことはありませんよ、と言おうとしたら、隣の日吉が初めて口を開いた。
「そうですね。なので、そろそろ邪魔しないでいただけますか。」
「ひ、日吉・・・っ!」
「ふふ・・・・・・。それはゴメンね?」
「それじゃあ、俺たちも店に向かうとしよう。」
「あ、あのっ!皆さん、すみません・・・・・・!!今後、またお会いしたときは、気軽に声をかけていただいて構いませんので・・・・・・!!」
「ありがとう。じゃあ、またね。」
不二さんが優しくそうおっしゃってくださり、青学の皆さんは立ち去られた。
お辞儀をしながら皆さんを見送った後、私は少しきつい視線を日吉に向ける。
「何てことを言うの・・・・・・!!」
「・・・・・・そんなに、青学の人たちと居たかったのか?」
「そういうことじゃないでしょ?!」
あんな言い方では、失礼すぎる。そう思って注意しているのに、日吉は全然わかってくれなくて、未だしかめっ面のままだ。
「そりゃ私だって、日吉と一緒に居たいに決まってるじゃない・・・・・・。」
そんな日吉を見て機嫌を損ねた私は、さっきまでの越前くんみたいに顔を背けながら、そうぼやいた。
そういえば。日吉は、特に越前くんをライバル視している。私が、日吉は嫉妬してくれているのかも?と気付けたのも、越前くんの話題がきっかけだった。
だから、余計に日吉も熱くなってしまったのかもしれない。・・・・・・だとしても。失礼なものは失礼だよ。
そう考えていると、日吉の反省したような声が聞こえてきた。
「・・・・・・。その・・・・・・悪かった。」
その言葉を聞いて、私はちゃんと日吉の方に向き直った。
日吉は、そんな私を見ながら、話を続ける。
「どうしても、が他の男と親しくしているところを見るのは、気分が良くないんだ。・・・・・・だが、それを表に出すのは、子供染みていた。だから、悪かった。これからは、できる限り気を付けるようにする。」
・・・・・・日吉はズルイ。日吉にそんなことを言われて、私の機嫌が直らないわけがない。
「別に、私は怒ってないよ。ただ、皆さんに失礼だよ、って言いたかっただけ。」
「そうか・・・・・・ありがとう。」
「お礼を言われるようなことはしてないよ。それに、私の方こそ、ありがとう。日吉にそう言ってもらえて、正直嬉しい・・・・・・。」
「・・・・・・。」
今度は、恥ずかしさのあまり、私は顔を横に向けた。
そうしていると、急に日吉が私の手を掴んだ。驚いて日吉の方を見ると、日吉は笑顔で言った。
「そろそろ俺たちも行くか。」
「う、うん・・・・・・そうだね。」
ツリーまで手を繋いで歩こうとするなんて・・・・・・やっぱり、日吉はズルイ。
Merry Christmas!
というわけで、クリスマス夢です☆
もともと書くつもりは全然無かったんですけど、せっかくなので青学メンバーを再チャレンジしようかと・・・(笑)。まぁ、今回もあまり出番はありませんでしたが;;
とりあえず、1日遅れでも、越前くんの誕生日を祝えて良かったです(笑)。
('09/12/25)